岡山で美容室や理容室の開業を考えている方へ。
開業準備といえば、店舗のコンセプトづくりや内装デザイン、使用する機材の選定など、技術やセンスに関わる部分に注目が集まりがちです。しかし、実際の開業には「行政機関への手続き」という避けて通れない課題があることをご存じでしょうか。
美容室・理容室の開業には、主に二つの大きな行政手続きがあります。ひとつは保健所に提出する「開設届出」(美容師法・理容師法に基づく手続き)、もうひとつは消防署に提出する「消防関連の手続き」(消防法に基づく届け出)です。
それぞれの管轄が異なり、必要書類や提出のタイミングも違うため、「何を、いつ、どこに届け出るのか分かりにくい」と悩む方は少なくありません。
岡山でも、全国共通の法律に加えて、自治体ごとの基準や進め方があります。これらを正しく理解して対応しないと、開業が遅れたり、後から修正が必要になることもあります。

この記事では、岡山(特に岡山市)で美容室・理容室を開業する方に向けて、必要な行政手続きの流れや注意点をわかりやすく解説します。記事を読み終えるころには、「自分の開業には何が必要か」「どの順序で進めるべきか」が明確になるはずです。
また、これらの手続きは専門的で煩雑なため、行政書士に相談・依頼することで、スムーズかつ確実に準備を進めることができます。この記事が、あなたの理想の店舗を安心・安全にスタートさせる第一歩となれば幸いです。
1. 岡山で美容室・理容室を開業するなら必須!美容所・理容所開設届の手続きガイド
岡山で美容室や理容室を開業する方は、店舗の準備と並行して重要な行政手続きが必要です。保健所への「美容所・理容所開設届」と消防署への手続きは、技術や店舗デザインと同じくらい開業の成否を左右します。
この記事では、岡山県(特に岡山市)での開業に必要な「美容所・理容所開設届」の流れや注意点をわかりやすく解説します。
美容所・理容所開設届とは?(美容師法・理容師法に基づく届出)
美容所開設届や理容所開設届は、美容師法または理容師法に定められており、美容所または理容所を新たに開設する際に、その施設の構造や設備、従業者の資格などを自治体(主に保健所等)に届け出る義務を果たすための書類です。
岡山で美容室・理容室を開業する場合、保健所に「美容所開設届」または「理容所開設届」を提出する義務があります。
目的はお客様や従業員の衛生確保、薬剤の安全管理で、書類を出せば終わりではなく、施設検査の合格が必要です。営業許可に近い実質的な手続きといえます。
届出までの主な流れ(岡山県・岡山市の場合)
美容所または理容所の開設届を提出し、営業を開始するまでの主な流れは以下のとおりです。手続きは、事業所を管轄する保健所等で行います。
いつ相談?
物件取得後、内装工事や設備の設置工事を始める前に、管轄の保健所等(岡山市内であれば岡山市保健所環境衛生課、岡山市外であれば岡山県各保健所)に相談に行くことが非常に重要ですし、強く推奨されています。
なぜ重要?
美容師法・理容師法で定める施設の構造・設備に関する基準は細かく定められています。
相談せずに工事を進めてしまうと、完成後に基準を満たしておらず、手直しが必要になるなど、工事のやり直しといった重大なトラブルが発生する可能性があるためです。
相談内容
施設の平面図や工事計画などを持参し、施設の区画、床面積、換気、照明、消毒設備、手洗い設備、待合所などが基準を満たす見込みがあるかを確認します。
施設の工事が完了し、基準を満たしていることを確認したら、開設届出書を作成し、必要な書類を添えて提出します。
主な必要書類
- 美容所開設届出書 または 理容所開設届出書
- 施設の構造設備の概要を示す図面(平面図、立面図など)
- 管理者および従業者となる美容師免許証 または 理容師免許証の写し
- 管理者および従業者となる者全員の医師の診断書(結核、皮膚疾患などの有無について、概ね3ヶ月以内に発行されたもの)
- 管理美容師または管理理容師資格認定講習会の修了証書の写し(従業者が常時2名以上従事する場合に、管理者が必要となる資格)
- 開設者が法人の場合は、登記事項証明書
- その他、必要に応じて求められる書類(水質検査成績書など)
提出先
管轄の保健所等窓口。
開設予定日の1週間~10日程度前を目安。
届出書類提出後、保健所等の担当者による施設の確認検査が行われます。
チェック内容
届出書類に記載された内容と、実際の施設の構造や設備(作業所の床面積、区画、換気、照明、消毒設備、洗髪設備、待合所など)が、美容師法・理容師法で定める基準に適合しているかが厳格に確認されます。
検査には、施設の状況を説明できる担当者(事業主や工事担当者など)の立ち会いが必要です。
※検査で基準を満たしていない点が見つかった場合は、改善を求められ、再度検査が必要になることもあります。
施設の確認検査に合格し、届出が受理されると、営業を開始することができます。
合格後は検査確認証を掲示して営業開始
施設の構造・設備基準の概要(美容師法・理容師法に基づく)
美容所・理容所を開設するためには、美容師法または理容師法、およびそれに基づく施行令・施行規則、さらには各自治体の条例や指導要綱で定められた施設の構造・設備基準を満たす必要があります。
主な基準は以下のとおりです。
主な基準は以下のとおりです。
- 作業場の床面積
→美容椅子または理容椅子の数に応じて、必要な最低床面積が定められています(例:椅子2台まで〇㎡、それ以降1台増すごとに△㎡追加など)。 - 区画
→作業場と待合所が明確に区画されていること。 - 換気・照明
→作業場の採光、照明、換気が適切であること。作業面の照度(明るさ)に関する基準や、空気中の炭酸ガス濃度に関する基準があります。 - 消毒設備
→皮膚に接する器具などを適切に消毒するための設備(薬液消毒器、紫外線消毒器など)が必須です。
未消毒の器具と消毒済み器具を区分して保管できる場所も必要です。 - 手洗い設備・洗髪設備
→流水式の適切な手洗い設備、洗髪設備があること。 - 内装材
→作業場の床や腰板には、コンクリート、タイル、リノリューム、板等の不浸透性材料を使用し、清掃が容易に行える構造であること。 - 汚物箱・毛髪箱
→蓋付きの汚物箱および毛髪箱を備えること。
これらの基準は、お客様と従業員の衛生と安全を守るために非常に重要です。



美容室・理容室の施設の基準は、特に『衛生』の観点が強く反映されています。床や壁の材質、手洗い設備や消毒設備の種類・数、換気や照明など、お客様に清潔で安全なサービスを提供するための細かな規定があります。
消防の基準(火気や避難など)とは重なる部分もありますが、それぞれ目的が異なるため、両方の基準をしっかりと確認しながら工事計画を立てることが、後々の手間やコストを防ぐ上で非常に重要です。
美容所・理容所開設届出は、美容師法・理容師法という専門的な法律に基づいた手続きです。
基準への適合確認のためにも、工事着工前に管轄の保健所等への事前相談を必ず行いましょう。
2.岡山の美容室・理容室開業で重要な消防手続き
岡山で美容室や理容室を開業する方は、消防署への手続きが欠かせないことをご存じでしょうか。
美容師法・理容師法による開設届(保健所等)と並び、消防法による届出や設備基準は、営業開始のための重要な要件です。
美容室や理容室では、パーマ液・染毛剤といった化学薬品、ドライヤー・アイロンなどの電気機器の使用、不特定多数のお客様の出入りなど、火災リスクが多様です。
岡山での開業にあたっては、消防署での手続きを確実に進める必要があります。
【1】防火対象物使用開始届
なぜ必要?
新たに美容室・理容室として建物を使い始める際、建物の用途・規模・使用開始日などを消防署に届け出る義務があります。これにより消防署が火災予防や避難の安全指導を行える体制を整えます。
岡山市の場合
「防火対象物使用開始(変更)届出書」を提出。
詳しくは下記の記事をご参照ください。


【2】防火管理者選任・届出
なぜ必要?
収容人数30人以上の店舗では防火管理者の選任義務があります。
防火管理者は消防計画の作成・避難訓練の実施などの防火管理を担う責任者です。
資格と届出
防火管理講習修了者を選任し、消防署に「防火管理者選任(解任)届出書」を提出。
岡山市の場合
岡山市消防局に提出。詳しくは下記の記事をご確認ください。


【3】消防計画作成・届出
なぜ必要?
防火管理者が火災予防・避難誘導・従業員の役割分担を定めた計画を作成し、消防署に提出します。
美容室・理容室の注意点
お客様の避難誘導、化学薬品の管理などを具体的に記載する必要があります。
詳細は下記の記事をご覧ください。


【4】消防用設備の設置・維持管理
なぜ必要?
消火器・自動火災報知設備・誘導灯などの設置義務があります。規模・構造によって異なるため要確認です。
美容室・理容室の注意点
化学薬品の保管、ドライヤーやアイロンの出火リスク対策が重要です。
設置・点検は消防設備士資格を持つ業者に依頼します。
詳しくは下記の記事で解説しています。


【5】防火対象物工事等計画届
なぜ必要?
美容室や理容室の内装工事や増改築工事を行う場合、工事着工前に消防署に計画を相談・届出する必要があります。これは、内装材の難燃性、化学薬品の安全な取り扱い、避難経路の確保など、防火安全上の重要事項を工事段階から確実に反映させるためです。
※岡山市の場合の注意点
岡山市では、「防火対象物工事等計画届」という名称の独立した様式は公開されていません。
実際には、事前相談を行ったうえで、必要に応じて
- 防火対象物使用開始届
- 防火管理者選任届
- 消防用設備等の工事に関する相談・調整
といった関連手続きに振り分けて対応されるケースが多くなっています。
内装や設備工事を計画した段階で、まずは管轄消防署に事前相談を行うことをおすすめします。
【6】開業前の消防検査の重要性
なぜ必要?
提出書類と現場の状況(設備設置、避難経路、内装材など)が適合しているかを消防署が確認します。
営業開始の条件
この検査に合格しなければ営業できません。
詳しくは下記の記事をご参照ください。





お客様スペースだけでなく、バックヤードや使用済みタオル置場、化学薬品の保管場所なども火災リスクがあります。消防署のチェック視点を理解して準備しましょう。
美容室・理容室開業における消防法関連の手続きは多岐にわたりますが、これらは全てお客様と従業員の安全を守るために不可欠なステップです。
美容師法・理容師法に基づく開設届出と合わせて、計画的に進めましょう。
3. 岡山の美容室・理容室開業で重要!保健所・消防署の手続きと連携のポイント
岡山で美容室や理容室を開業する際は、「美容師法・理容師法」に基づく保健所の手続きと、「消防法」に基づく消防署の手続きが必要です。それぞれ異なる行政機関が関わるため、スムーズに開業するには連携がとても重要です。
ここでは、岡山県内(岡山市、倉敷市、その他市町村)での具体的な手続きと、連携の進め方をわかりやすく解説します。
岡山の美容室・理容室開業で関わる行政機関
✅ 保健所(岡山市保健所環境衛生課または岡山県各保健所)
美容師法・理容師法に基づく、施設の衛生基準や構造設備に関する手続きを担当。
✅ 消防署(岡山市消防局管轄の消防署、または岡山県各消防署の予防課)
消防法に基づく、火災予防や安全管理の手続きを担当。
■ 保健所・消防署の連携をスムーズに進める3つのポイント
【ポイント1】工事着工前の「事前相談」が重要
美容室・理容室の内装工事や改修を計画する前に、
必ず保健所と消防署の両方に事前相談することが最初のステップです。
- 保健所(例:岡山市保健所環境衛生課)
→ 作業所の床面積、換気、消毒設備など衛生面の基準確認。 - 消防署(例:岡山市消防局予防課)
→ 内装制限(難燃・不燃材の使用)、避難経路、消防設備の確認。
なぜ重要?
事前相談をせずに工事を進めると、後で基準を満たさない部分が発覚し、
工事のやり直しや追加費用が発生するリスクがあります。
【ポイント2】手続きのタイミングを把握する
- 開設届(保健所)
→ 工事完了後に提出。 - 防火対象物使用開始届(消防署)
→ 使用開始日の前までに提出(通常7~10日前目安)。 - 消防検査(消防署)
→ 営業開始前の最終検査、合格しないと営業不可。
計画的に進めることが重要です!
開業日から逆算して、それぞれの準備と提出スケジュールを組みましょう。
【ポイント3】必要書類を漏れなく準備する
共通して重要になるのが「施設の構造設備を示す図面」です。
保健所・消防署ともに求められるため、最新の図面を用意し、両方の基準を満たすよう確認しましょう。
書類の例
- 開設届出書(保健所)
- 防火対象物使用開始届(消防署)
- 施設の平面図・立面図
- 消防設備の配置図
公式サイトや窓口で最新の書類リストを確認し、準備漏れを防ぎます。



岡山で美容室・理容室を開業するなら、保健所・消防署それぞれの専門分野を理解し、特に工事着工前の段階から両者と連携しながら計画を進めることが、スムーズかつ確実な開業のための重要なポイントです。
4. まとめ:岡山での美容室・理容室開業を成功させるために、手続きを確実に
岡山で美容室や理容室を開業するためには、技術やセンスの磨き上げと同じくらい、行政手続きを正確に進めることが成功のカギとなります。
この記事では、美容師法・理容師法に基づく「美容所・理容所開設届出」と、消防法に基づく「消防関連手続き」という二大柱を解説しました。
開設届出は、主に施設の衛生・構造基準を確保するための手続き(保健所等管轄)、消防法関連は火災予防・避難安全を確保するための手続き(消防署管轄)です。
どちらも開業前に完了しておく必要があり、事前相談、基準確認、書類作成、現地検査と、流れは多岐にわたります。
行政書士に依頼するメリット
初めての開業では、「何をすべきか」「どこに相談すべきか」が分からず不安になる方が少なくありません。行政書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
- 保健所・消防署双方との窓口を一本化し、手続き全体をスムーズに進められる
- 施設基準や法令適合性について、専門的なアドバイスを受けられる
- 書類作成の負担が軽減し、開業準備に集中できる



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