消防署からの是正指導。もしかして、その通知書を見て、少し戸惑っていませんか?
立ち入り検査などの後で、消防署から改善をお願いする書類(是正指導通知書など)を受け取られた事業者様は、少なくありません。
「これって、何をすればいいんだろう?」 「提出期限があるけれど、どう対応したらいいか分からない…」 「忙しくて、つい後回しにしてしまっている…」
専門的な内容も多く、普段関わる機会がないだけに、このように感じられる方もいらっしゃるかと思います。無理もありません。
ですが、その是正指導を内容が分からないまま、あるいは対応しないままにしてしまうと、実はいくつかの大切なリスクに関わってきます。
無視できるものではなく、あなたの事業や安全にも関わる、重要なことなんです。
「どうしよう…」と不安に思われているかもしれませんね。
ご安心ください。
この記事では、もし消防署からの是正指導に対応しなかった場合に、具体的にどんなリスクがあるのかを分かりやすくお伝えするとともに、あなたが次に取るべき「正しい対応方法」の基本的なステップをご紹介します。

私は消防に約42年間携わり、消防の現場、そして検査や指導をする立場から多くの是正事例を見てまいりました。その経験と、行政手続きの専門家である行政書士としての知識に基づいた視点から、是正指導の本当の意味と、リスクを回避して、適切に、そしてスムーズに対応するための大切なポイントをお伝えします。
この記事を最後まで読んでいただければ、是正指導への対応に関する疑問が整理され、次にどう動けば良いか、安心して見えてくるはずです。
そもそも「是正指導」とは?



消防署から交付される是正指導に関する書類は、正式には「立入検査結果通知書」や「改善指示書」など、様々な名称で交付されることがあります。しかし、内容としては共通して、建物の消防法令上の不備や、消防計画からの逸脱などを指摘し、改善(是正)を求めるものです。
これは、あなたが何か悪いことをしたことに対する罰則や罰金そのものではありません。
あくまで、消防法や条例に建物の状態を適合させ、火災などが起きた際の安全を確保するために、必要な改善を行ってください、という「お願い」や「指示」だとご理解ください。
通常、この是正指導には、指摘された内容を改善し、その結果を消防署に報告するための「提出期限」が記載されています。この期限内に、指摘された事項に対応し、消防署に報告を行う必要があります。
まずは、この「是正指導」が、建物の安全を高めるために、消防署から示された改善の指示であり、それには対応すべき期限がある、という点を押さえておきましょう。
【最重要】是正指導を「放置」するとどうなる?隠されたリスク


先ほどで、是正指導は建物の改善を求める消防署からの指示であり、それは罰則そのものではない、ということをお伝えしました。
しかし、時間がない、内容が難しい、あるいは「うちの店(事務所)に限って火事なんて起きないだろう」「最悪でも、後でやれば大した処分にはならないだろう」と、「改善のお願い」の段階では、つい対応を後回しにしてしまっているという方も、残念ながら少なくありません。
もしあなたが今、少しでもそう思われているとしたら、それは大変危険な考え方です。なぜなら、是正指導への対応を放置することは、想像している以上に大きな、そして取り返しのつかないリスクを抱え込むことに他ならないからです。



是正指導を放置することで発生する、あなたの事業、財産、そして何より「命」に関わる、隠された、しかし現実的なリスクは以下の通りです。
リスク1:法的罰則や行政処分の可能性が増大します
是正指導は最初の「お願い」段階ですが、これに応じず、期限を過ぎても改善が見られない場合、消防署は次の段階に進まざるを得なくなります。
具体的には、より強い「改善命令」が発出されたり、法令違反として罰金などの罰則が科されたりする可能性が高まります。
悪質な場合や繰り返し指導に従わない場合、事業者名が公表されたり、最悪の場合には送検・逮捕といった事態に発展するケースもゼロではありません。



私は消防士として、是正指導から改善命令、そして最終的に重い処分へとステップが進んでいく事例を何度も見てきました。
リスク2:もしもの事故発生時、責任が飛躍的に重くなります
多くの方が「うちに限って火事は起きない」と思いたい気持ちは分かります。
しかし、万が一、火災や地震などの災害が起きてしまった場合、是正指導されていた不備が原因で被害が拡大したり、避難が遅れたり、初期消火ができなかったりすると、事態は一変します。
是正指導を認識していたにも関わらず対応していなかったという事実は、あなたの**法的責任(民事・刑事両面)**を非常に重いものにします。多額の損害賠償を請求されたり、業務上過失致死傷罪などに問われたりするリスクが発生します。



避難経路の障害が原因で逃げ遅れが発生した、といった痛ましいニュースなどは見たことがある人もいるはずです。ただテレビ等で見ても、自分には起こらないと思ってしまう人がほとんです。ただ、私は消防士としてこの現実を知っているからこそ、「火事は起きない」という根拠のない安心感がいかに危険か、声を大にしてお伝えしたいのです。
また、火災保険やその他の保険に関しても、法令違反状態が事故原因に関与した場合、保険金が支払われない、あるいは大幅に減額される可能性があります。
リスク3:事業継続が困難になる可能性があります
改善命令に従わない場合、消防署から建物の使用禁止命令が出されることがあります。これは、事業の停止を意味します。
法令違反や事故発生による信用の失墜は、顧客離れや取引停止を招き、事業の継続そのものを危うくします。一度失った信用を取り戻すのは容易ではありません。
是正指導への対応が遅れた結果、営業停止命令が出てしまい、事業をたたむことになるのを、私も見てきました。
最初の小さな対応の遅れが、このような最悪の事態に繋がることがあるのです。
リスク4:安全リスクが高いまま放置されます
是正指導は、その建物を安全に利用するために、消防法の専門家である消防署が必要だと判断した改善点です。
放置するということは、その改善を行わず、建物を利用する従業員、顧客、関係者の皆様を、本来回避できたはずの危険に晒し続けることに他なりません。
これは、万が一の際に、人命に関わる最も深刻なリスクに直結します。
リスク5:消防署からの信頼を失います
一度、是正指導に応じない事業者という印象を与えてしまうと、その後の消防署との関わり(立ち入り検査、各種届出など)において、より厳格な対応を取られる可能性があります。
これは、その後の手続きの負担増にも繋がります。
消防署も人間です。
「お願い」ベースの指導に真摯に対応してくれる事業者には、可能な範囲で柔軟な対応や相談に応じやすいものです。
しかし、再三の指導にも応じない相手には、法律に基づき厳格な対応を取らざるを得ません。
信頼関係は、その後のスムーズな事業運営にも影響します。
これらのリスクは、「改善のお願い」の段階で適切に対応していれば、全て回避できたはずのリスクです。「大したことない」「後でいい」という考えが、どれほど現実的かつ深刻な問題に繋がる可能性があるか、ご理解いただけたかと思います。
重要なのは、リスクを理解し、正しく・早く・確実に対応することです。
放置はNG!是正指導の「正しい対応方法」のステップ



是正指導を放置することの現実的なリスクをご理解いただけたかと思います。
このセクションでは、リスクを回避するために、具体的にどのような手順で対応を進めるべきか、そのステップを分かりやすく提示します。
ステップ1:通知書の内容を正確に理解する
まず、受け取った通知書をじっくりと読み、何が(指摘事項)、なぜ(根拠法令)、いつまでに(提出期限)改善を求められているのかを正確に把握することが全ての始まりです。
専門用語が多くて分かりにくいと感じるかもしれませんが、ここを曖昧にしてしまうと、その後の対応を誤る可能性があります。
もし内容がどうしても理解できない場合は、消防署の担当部署に問い合わせてみることも可能です。(怖がらずに、まずは状況を説明してみましょう)
ステップ2:指摘内容の現場状況を把握する
通知書で指摘された箇所が、実際にどのような状態になっているかを確認します。
清掃や整理整頓で改善できることなのか、専門的な工事や設備の設置・修理が必要なことなのかなど、是正に必要な具体的な作業内容を見極めます。
ご自身で対応が難しい場合は、専門業者(工事会社、設備業者など)に見てもらい、是正方法や費用について相談する必要があります。



指摘内容が法令のどの部分に該当するか、具体的にどのような状態が基準を満たすのかを正確に判断するには、専門的な知識が必要です。
私が消防士として多くの不備を見てきた経験から、現場を見るべきポイントをお伝えできます。
ステップ3:是正計画を立てる(報告書作成含む)
指摘内容の把握と是正方法の見通しがついたら、是正をいつまでに、誰が、どのように行うかという具体的な計画を立てます。特に提出期限がある場合は、期限内に間に合うように逆算して計画することが重要です。
消防署への報告が必要な是正については、改善指示書などの書類を作成する必要があります。指摘内容、是正方法、完了予定日などを記載します。
ステップ4:指摘箇所の是正を実行する
計画に基づき、具体的な是正作業(清掃、整理、物品設置、工事、修理など)を行います。
専門業者に依頼した場合は、業者に作業を依頼・実施してもらいます。
是正の状況を示すために、改善前後の写真を撮影しておくことが推奨されます。
ステップ5:消防署へ是正完了の報告を行う
指摘された内容の是正が完了したら、是正報告書などの必要な書類に、改善後の状況が分かる写真などを添付して、期限までに管轄の消防署へ提出します。
報告書の提出をもって、一連の是正対応は完了となります。


これが、是正指導を受け取ってから完了までの基本的な流れです。
ご覧いただいたように、通知内容の正確な理解から始まり、計画、実行、報告と、いくつかのステップを踏む必要があります。
特に、指摘内容が複雑な場合、専門的な判断が必要な場合、あるいは提出期限が短い場合は、これらのステップを滞りなく、正確に進めることが求められます。
一人で抱え込まないで。専門家(行政書士)に相談するメリット
是正指導の基本的な対応ステップはご理解いただけたかと思います。
しかし、現実には専門的な判断や、消防署とのやり取りなど、ご自身で進めるにはハードルが高いと感じる部分もあるかもしれません。
「ステップは分かったけれど、やっぱり不安だ…」そう感じても、それは自然なことです。
是正指導への対応は、リスクを回避し、建物の安全を確保するための重要なプロセスです。
その複雑さゆえに、一人で抱え込んでしまうと、対応が遅れたり、誤った対応をしてしまったりするリスクも伴います。
そんな時、消防法令に関する専門家である行政書士に相談し、サポートを依頼するという選択肢があります。
専門家に任せることで得られるメリットは、あなたが想像されている以上に大きいものです。
専門家(行政書士)に相談・依頼する主なメリット
ここでは、消防法令に関する手続きを専門家である行政書士に依頼することで得られる、主なメリットをご紹介します。
法令や手続きの正確な理解と適切な対応が可能に
消防法令は専門的で改正も多いため、ご自身で正確に理解し、適切に対応するのは容易ではありません。
行政書士は、法令や最新の情報を正確に把握しており、あなたの状況に合わせた適切な手続きや対応方法をご提案します。
誤った解釈や手続きによる手戻り、そして法的なリスクの増大を防ぐことができます。
書類作成の負担が軽減され、品質が確保される
是正報告書をはじめ、消防署に提出する書類は専門的な知識が必要で、作成には手間がかかります。
行政書士は、これらの書類作成をあなたに代わって行います。
消防署が求める形式や内容を理解しているため、「通る書類」として正確で抜け漏れのない書類を迅速に作成・提出できます。
消防署との円滑なコミュニケーションをサポート
消防署との連絡や協議に苦手意識や不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
行政書士は、法令に基づきあなたに代わって消防署と適切にコミュニケーションを取ることができます。
専門用語が飛び交う場面でも、正確な情報を伝え、誤解を防ぎながら協議を進めるため、手続きがスムーズに進みやすくなります。
東山行政書士事務所だからこその強み
消防法令に関する行政書士は他にもいるかもしれませんが、当事務所には、「消防歴42年の元岡山市消防局長」という、他の事務所にはない、あなたのお悩み解決に直接繋がる唯一無二の強みがあります。
消防署側の意図や「通じる」考え方を理解した対応
私が長年、消防の「出す側」「審査する側」、そして組織のトップとして多くの事例を見てきた経験があるからこそ、是正指導の真意、消防署の担当者がどのような点を確認したいか、どのように説明すればスムーズに理解が得られるかといった、署の内情や考え方を深く理解しています。
この知識に基づいた対応は、手続きの円滑さに大きく貢献します。
現場経験に基づく実践的なアドバイス
書面上の法令知識だけでなく、実際の火災現場や検査現場で「何が本当に重要か」「何が危険か」を見てきた経験があります。
これにより、法令基準を満たすだけでなく、現場の安全を最優先に考えた、実践的かつ最適な是正方法についてアドバイスができます。
書類だけでは分からない、建物や設備の「隠れたリスク」を見抜く視点もご提供できます。
長年の経験によるスムーズな手続き進行と問題解決力
多くの手続き、多様な建物を扱ってきた42年間の経験は、予期せぬ問題への対応力や、手続きの「ツボ」を心得ていることに繋がります。
これにより、複雑な是正対応であっても、より迅速かつスムーズに完了させることが可能です。
様々なケースを見てきた経験は、あなたの「こんな時どうすれば?」という疑問に対し、的確な解決策を導き出す力となります。
コスト削減の視点も踏まえた、合理的かつ安全な提案
必要な是正は安全確保のために不可欠ですが、過剰な対応はコストの無駄に繋がります。
法令で求められる基準と、現場の安全性を両立しつつ、お客様の状況にとって最も合理的で、かつ不必要な工事や設備投資を防ぐための、経営的な視点からのアドバイスも行います。



是正指導への対応は、専門的な知識と、消防署との適切なやり取りが求められるプロセスです。一人で悩んだり、誤った対応をしてしまったりする前に、私たち専門家を頼ってください。
特に、是正内容が複雑な場合や、提出期限が迫っている場合、あるいは消防署とのやり取りに不安がある場合は、元消防局長としての豊富な経験を持つ弊所へのご相談が、あなたの安心と確実な解決、そして事業継続のサポートに繋がります。
まとめ
この記事では、消防署からの是正指導について、その「放置することの危険性」と、あなたが取るべき「正しい対応方法の基本的なステップ」、そして「専門家(行政書士)に相談・依頼するメリット」について解説しました。
是正指導は、決して無視して良いものではありません。内容が分からないまま放置してしまうと、思わぬ法的リスクや、もしもの事故発生時の責任増大、事業継続への影響といった現実的な問題に繋がります。
しかし、必要以上に恐れる必要はありません。正しい手順で、迅速に対応すれば、これらのリスクは回避できます。 ご自身で対応するステップはありますが、専門的な判断や書類作成、消防署とのやり取りに不安を感じる場合は、一人で抱え込まずプロを頼るという選択肢があります。
特に、元岡山市消防局長としての長年の経験を持つ私たち東山行政書士事務所は、消防署側の意図や現場の実情を理解した、あなたの状況にとって最も正確で、かつスムーズな解決策をご提案できます。
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消防法令への対応を適切に行うことは、リスク管理の一環として非常に重要です。しかし、複雑な手続きや現場での対応をすべて自力で行うのは困難です。
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