「うちの会社にも、そろそろ防火管理者を選任しないといけないらしいんだけど…『甲種』と『乙種』があるって聞いたけど、一体何がどう違うんだろう?」
「防火管理者の資格を取りたいけど、自分はどちらの講習を受ければいいのかな?」
企業の経営者の皆様、そして防火管理を担当される可能性のある皆様。防火管理者の資格に「甲種」と「乙種」の二つの区分があることはご存知でも、その具体的な違いや、自社の状況に応じてどちらの資格を持つ人が必要なのかを正確に把握するのは、意外と難しいと感じていらっしゃいませんか?
名前が似ているだけに、余計に混乱してしまうこともありますよね。

元岡山市消防局長、現在は消防法令専門の行政書士をしております東山です。
42年間の消防業務を通じて、私はこの防火管理者制度の適切な運用が、事業所の安全確保にいかに重要であるかを肌で感じてきました。
そして、この「甲種」と「乙種」の選択で悩まれたりするケースも見てまいりました。
甲種防火管理者と乙種防火管理者は、どちらも事業所の火災予防と被害軽減を担う重要な役割ですが、
- どんな規模や種類の建物で防火管理を行えるのか(対象範囲)
- 求められる知識や技能の専門性(業務範囲)
- 資格を取得するための講習内容や期間
といった点で、違いが定められています。
この違いを正しく理解し、自社に適合した資格を持つ防火管理者を選任することは、法令を遵守する上で絶対に欠かせないだけでなく、万が一の際に、従業員やお客様の命、そして大切な財産を守るための実効性のある防火体制を築く上でも、極めて重要なのです。
この記事では、
- そもそも、なぜ防火管理者の資格に「甲種」と「乙種」の区分があるのか?
- それぞれの資格が具体的に何が違い、どんな特徴があるのかを、分かりやすく比較しながら徹底解説!
- そして、「うちの会社には、結局どっちが必要なの?」という疑問に、スッキリお答えするための判断ポイント
について、元消防局長の視点から、専門用語をできるだけ避け、丁寧に解説していきます。
この記事を最後までお読みいただければ、これまで少し曖昧だった「甲種」と「乙種」の違いが明確になり、自社に最適な防火管理者を選任するための、確かな知識と自信が身につくはずです。
防火管理者の役割 – 事業所の「火の用心」のリーダー
以前の記事「【基礎知識】防火管理者と防災管理者の違いをやさしく解説」でも詳しくお話ししましたが、防火管理者の最も重要な使命は、
- 火災の発生を未然に防ぐこと(予防)
- 万が一、火災が発生してしまった場合に、その被害を最小限に食い止めること(被害軽減)
この二つです。
そのために、消防計画の作成、消火・避難訓練の実施、消防用設備の点検・整備、火気使用の監督など、事業所の「火の用心」に関する様々な業務の中心となって活動する、まさに「防火のリーダー」としての役割が期待されています。
なぜ「甲種」と「乙種」の区分があるの? – 事業所の“個性”に合わせた専門性
では、なぜこの「防火のリーダー」である防火管理者の資格に、「甲種」と「乙種」という二つの区分が設けられているのでしょうか?
それは、世の中にある事業所(消防法では「防火対象物」といいます)の“個性”が、一つひとつ全く異なるからです。
事業所の個性とは?
- 規模の大小
比較的小規模な個人経営のお店もあれば、何フロアもある大きなオフィスビルやショッピングモールもあります。 - 人の出入りの多さ
従業員だけが利用する事務所もあれば、毎日たくさんのお客さんが出入りする飲食店や百貨店、あるいは患者さんが入院している病院もあります。 - 火災リスクの高さ
火をたくさん使うレストランの厨房と、書類が主な事務所とでは、火災の起こりやすさや燃え広がりやすさが異なります。 - 避難の難しさ
小さな平屋のお店と、高層ビルや地下街、あるいは自力で避難することが難しい方が多くいる福祉施設とでは、火事が起きた時の避難の難しさが全く違います。
このように、事業所の規模、用途(何に使われているか)、そこにいる人の特性などによって、
- 火災が発生する危険性の度合い
- 火災が発生した場合に予想される被害の大きさ
- 安全を確保するために必要な防火管理の専門知識や技能のレベル
が大きく異なってきます。
そこで、消防法では、これらの事業所の“個性”や“火災リスクの度合い”に応じて、防火管理者に求められる知識や能力のレベルを分け、よりきめ細やかで実効性のある防火管理体制を築けるように、「甲種」と「乙種」という資格の区分を設けているのです。



簡単に言えば、より規模が大きく、より多くの人が出入りし、より火災リスクが高いと想定される事業所には、より広範で専門的な知識・技能を持つ『甲種防火管理者』が必要とされ、比較的規模が小さく、火災リスクも限定的と想定される事業所には、基本的な知識・技能を持つ『乙種防火管理者』で対応できる、という考え方が基本にあります。
それぞれの事業所の特性やリスクに見合った、適切なレベルの防火管理者を置くことで、無駄なく、かつ効果的に安全を守るための、合理的な仕組みです。
「甲種」「乙種」それぞれの役割と重要性
甲種防火管理者と乙種防火管理者は、資格の上下や優劣を示すものではありません。
それぞれの資格は、対象となる事業所の火災リスクに応じて、適切な防火管理を行うために必要な知識と技能の範囲が異なるということを理解しておくことが大切です。
- 甲種防火管理者は、大規模・高リスクな施設を含む、原則として全ての防火対象物で防火管理業務を行うことができる、いわばオールラウンドな防火の専門家です。
- 乙種防火管理者は、その対象範囲が比較 Tiểu規模な事業所に限定されますが、その範囲内においては、甲種防火管理者と同様に、その事業所の火災予防と安全確保の責任を担う重要な役割を果たします。
どちらの資格であっても、選任された防火管理者は、その事業所の安全を守るためのキーパーソンであることに変わりはありません。
次のセクションでは、この甲種と乙種の具体的な違いについて、選任できる事業所の規模や業務範囲、講習内容といった観点から、さらに詳しく比較していきます。
【徹底比較】甲種と乙種、防火管理者の「違い」を6つのポイントでスッキリ解説!
前章では、なぜ防火管理者の資格に「甲種」と「乙種」の区分があるのか、その背景にある考え方をご理解いただけたかと思います。
事業所の規模や火災リスクの度合いに応じて、求められる防火管理の専門性が異なるため、この二つの区分が設けられています。
では、具体的に「甲種防火管理者」と「乙種防火管理者」は、どのような点が異なるのでしょうか?
ここでは、6つの重要な比較ポイントを挙げ、それぞれの「違い」を明らかにしていきます。
この違いをしっかり押さえることが、自社に必要な資格者を正しく選任するための第一歩です。
比較ポイント早分かり!甲種と乙種の主な違い一覧
まずは、甲種防火管理者と乙種防火管理者の主な違いについて、以下の表でポイントを整理して見ていきましょう。
比較ポイント | 甲種防火管理者 | 乙種防火管理者 |
---|---|---|
1. 選任できる事業所の規模・用途 | 大規模な事業所、不特定多数の人が利用する高リスクな事業所(特定防火対象物)など、原則として全ての防火対象物で選任可能 | 消防法で定められた比較的小規模な事業所に限定 |
2. 業務範囲・責任の重さ | より広範で複雑な防火管理業務。大規模施設全体の統括的な管理が求められることも。 | 比較的限定された範囲の防火管理業務。 |
3. 講習内容の専門性・範囲 | 消防法令、火災予防、消防計画、危険物、大規模災害対策など、より広範で専門的な内容。 | 防火管理の基本、小規模事業所向けの消防計画、初期消火・避難誘導など、基本的な内容が中心。 |
4. 講習時間(目安) | 通常2日間程度 | 通常1日間程度 |
5. 資格の有効範囲 | 甲種資格を持っていれば、乙種で対応可能な小規模事業所の防火管理者にもなれる。 | 乙種資格では、甲種防火管理者の選任が必要な事業所の防火管理者にはなれない。 |
6. 再講習の義務(主なケース) | 一定規模以上の特定防火対象物で選任されている場合、定期的な再講習が必要。 | 原則として再講習の義務はない(※自治体によって異なる場合があるので要確認)。 |
※この表はあくまで一般的な違いをまとめたものであり、詳細な基準は法令や自治体の条例によって異なる場合があります。
必ず管轄の消防署にご確認ください。
それでは、これらの比較ポイントについて、一つずつ詳しく見ていきましょう。
比較ポイント1:選任できる事業所の「規模」と「用途」
これが甲種と乙種の最も大きな違いであり、どちらの資格が必要かを判断する上での最初の関門です。
- 甲種防火管理者
原則として、全ての防火対象物(事業所)で防火管理者として選任されることができます。
特に、以下のいずれかの条件に該当する事業所では、甲種防火管理者の選任が必須となります。- 不特定多数の人が大勢出入りする施設(特定防火対象物)で、延べ面積が300平方メートル以上の事業所
(例:飲食店、物品販売店、ホテル、病院、劇場、百貨店など) - 主に特定の人が利用する施設(非特定防火対象物)で、延べ面積が500平方メートル以上の事業所
(例:事務所、工場、倉庫、共同住宅、学校など) これらの施設は、火災が発生した場合の被害が甚大になる可能性が高いため、より高度な専門知識を持つ甲種防火管理者が求められるのです。
- 不特定多数の人が大勢出入りする施設(特定防火対象物)で、延べ面積が300平方メートル以上の事業所
- 乙種防火管理者
選任できる事業所の範囲が、甲種防火管理者が必要とされる規模を下回る、比較的小規模な事業所に限定されます。
例えば、街の小規模な飲食店や個人商店、小規模な事務所、アパートなどが、この乙種防火管理者で対応できるケースに該当することがあります。
(※ただし、収容人員や建物の構造など、面積以外の要素によっても選任義務の有無や資格種別は変わるため、最終的には管轄の消防署にご確認ください。)
比較ポイント2:任される「業務範囲」と「責任の重さ」
選任できる事業所の規模や用途が異なるため、当然ながら任される業務の範囲や責任の重さも変わってきます。
- 甲種防火管理者
大規模で複雑な構造の建物や、多様な人々が出入りする施設全体の防火管理を統括する立場になることが多く、より広範で専門的な知識に基づいた判断と、リーダーシップが求められます。消防計画も、より詳細で多岐にわたる内容を策定する必要があります。
- 乙種防火管理者
比較的小規模で、構造も単純な事業所が対象となるため、業務範囲は甲種に比べて限定的です。しかし、その事業所の火災予防と安全確保に関する責任を負うという点では、甲種と何ら変わりはありません。
比較ポイント3:学ぶ「講習内容」の専門性と範囲
資格を取得するための講習内容も、甲種と乙種では異なります。
- 甲種防火管理講習
消防法令、火災予防の理論、燃焼・消火の科学、危険物に関する知識、大規模地震対策、消防計画の作成演習など、より深く、より広範な専門知識を学びます。実践的な演習も多く取り入れられています。
- 乙種防火管理講習
防火管理の基本的な考え方、小規模事業所向けの消防計画の作成ポイント、初期消火の方法、避難誘導の基本など、防火管理の基礎となる知識・技能を中心に学びます。
比較ポイント4:資格取得にかかる「講習時間」の目安
講習内容の範囲が異なるため、資格取得に必要な講習時間も変わってきます。
- 甲種防火管理講習
一般的に、おおむね2日間(合計10時間程度)の講習と効果測定(試験)が行われます。
- 乙種防火管理講習
一般的に、おおむね1日間(合計5時間程度)の講習と効果測定(試験)が行われます。
(※講習時間や日数は、実施機関や自治体によって若干異なる場合があります。)
比較ポイント5:資格の「有効範囲」– 大は小を兼ねる?
取得した資格が、どのような範囲の事業所で有効なのかも重要なポイントです。
- 甲種防火管理者
甲種の資格を持っていれば、乙種防火管理者の選任が必要な事業所でも、その防火管理者になることができます。
- 乙種防火管理者
乙種の資格では、甲種防火管理者の選任が義務付けられている事業所の防火管理者になることはできません。
比較ポイント6:「再講習」の義務 – 知識のアップデートは必要?
一度資格を取得すればそれで終わり、というわけではありません。特に甲種防火管理者には、知識や技能を最新の状態に保つための再講習が義務付けられている場合があります。
- 甲種防火管理者
特定の条件に該当する大規模な事業所や、不特定多数の人が利用する高リスクな事業所(特定防火対象物)で選任されている場合、おおむね5年ごと(初回は選任から1年以内など条件あり)に再講習の受講が義務付けられています。
これは、法改正への対応や、新たな火災予防に関する知識を習得し続けるために非常に重要です。
- 乙種防火管理者
原則として再講習の義務はありません。
ただし、法令は変わる可能性がありますし、自主的に知識をアップデートすることは常に推奨されます。
また、自治体によっては独自の指導がある場合も考えられますので、確認が必要です。



こうして比較してみると、甲種と乙種の違いがかなり具体的にお分かりいただけたのではないでしょうか。
特に重要なのは、『選任できる事業所の規模・用途』と、それに伴う『業務範囲・責任の重さ』、そして『資格の有効範囲』です。
どちらの資格が必要になるかは、その事業所の状況次第です。
そして、一度資格を取ったからといって安心せず、特に甲種防火管理者の方は、再講習の義務もしっかりと認識しておいていただきたいと思います。
「ウチの会社は甲種?乙種?」選任義務を正しく判断するためのステップ
「甲種と乙種の違いは分かった。でも、結局うちの会社には、どちらの防火管理者が必要なんだろう?」
この疑問こそが、この記事を読まれている皆様の最も大きな関心事ではないでしょうか。
防火管理者の選任義務の有無や、甲種・乙種のどちらが必要になるかの判断は、建物の用途や規模、構造など、様々な要素が複雑に絡み合って決まります。
安易な自己判断は、法令違反や、いざという時のリスクを見過ごす原因となりかねません。
ここでは、あなたの事業所に本当に必要な防火管理者の種類を正しく判断するための、具体的な3つのステップをご紹介します。
ステップ1:まずは自社の「防火対象物としての情報」を正確に把握する
選任義務の有無や資格種別を判断するためには、まず自社の事業所の基本的な情報を正確に把握することが不可欠です。
以下の情報を整理してみましょう。
これらの情報は、消防署に相談する際や、専門家に確認を依頼する際に必ず必要となる基本的なデータです。
自社の基本情報をチェック!
- 建物の正確な所在地
住所、ビル名、階数など。 - 建物の主な用途
飲食店、物販店、事務所、工場、倉庫、病院、福祉施設、共同住宅など、消防法上の分類で具体的に。複数の用途が混在している場合は、それぞれの用途と面積も。 - 建物の規模
- 建物全体の延床面積(建物全体の広さ)
- 自社が使用している部分の床面積
- 建物の階数(地上階、地下階)
- おおよその収容人員
従業員数、顧客数、利用者数など、通常時および最大時にその建物内にいる可能性のある人数。 - 建物の構造
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など。
※正確な情報が分からない場合は、建物の登記簿謄本や賃貸借契約書、建築図面などを確認してみましょう。
ステップ2:管轄の消防署の「予防課」に問い合わせて確認する
自社の基本情報が整理できたら、次は事業所の所在地を管轄する消防署の「予防課」(またはそれに類する防火指導を担当する部署)に直接問い合わせて確認するのが、最も確実な方法です。
消防署への上手な問い合わせ方のコツ
- 事前に電話でアポイントを取るのがおすすめ
担当者が不在の場合や、他の業務で多忙な場合もあるため、事前に電話で「防火管理者の選任義務について確認したいのですが」と伝え、相談日時を調整しましょう。 - ステップ1で整理した情報を正確に伝える
建物の所在地、用途、規模、収容人員などを具体的に伝えることで、消防署の担当者も的確な判断がしやすくなります。 - 図面などがあれば持参する
建物の平面図や配置図などがあれば、より詳細な状況が伝わり、話がスムーズに進みます。 - 質問したいことをメモしておく
聞き忘れがないように、事前に質問事項をリストアップしておくと良いでしょう。
消防署は、地域の安全を守るための指導・助言を行う公的機関です。
選任義務の有無や、必要な資格種別について、親切に教えてくれるはずです。
ステップ3:(判断に迷う、または手間を省きたい場合に)専門家(行政書士など)に相談する
「消防署に直接聞くのは少し気が引ける…」
「自分たちで調べても、法令の解釈が複雑でよく分からない…」
「必要な手続きが多くて、何から手をつければいいか困っている…」
このような時には、消防法令に詳しい行政書士などの専門家に相談し、調査・確認や手続きの代行を依頼するという選択肢も非常に有効です。
専門家に相談するメリット
- 正確な法令解釈と的確なアドバイス
複雑な法令や基準を専門家の目で正確に読み解き、あなたの事業所に本当に必要な資格種別と対応を具体的にアドバイスしてくれます。 - 時間と労力の削減
面倒な情報収集や書類作成、消防署とのやり取りなどを代行してもらうことで、担当者の負担を大幅に軽減し、本業に集中できます。 - 手続きの確実性とスムーズな進行
専門知識に基づいた的確な対応により、手続きのミスや遅延を防ぎ、事業計画への影響を最小限に抑えます。 - 精神的な安心感
「これで大丈夫だろうか…」という不安から解放され、安心して事業に取り組むことができます。



防火管理者の選任は、法令で定められた事業主の重要な責務です。しかし、その基準や手続きが複雑であることもまた事実です。
ただ『よく分からないから、まあいいか』と放置してしまうのが、一番良くありません。
もしご自身での確認や手続きに少しでも不安を感じたら、決して一人で悩まず、遠慮なく消防署や私たちのような専門家にご相談ください。
正確な情報に基づいた適切なアドバイスとサポートを受けることが、結果的に時間とコストを節約し、何よりも貴社の安全と信頼を守ることに繋がります。
東山行政書士事務所では、防火管理者・防災管理者の選任義務の確認から、必要な資格取得に関するご案内、そして選任届の作成・提出代行まで、トータルでサポートしています。
防火管理者の選任は、単に法令上の義務を果たすだけでなく、あなたの事業所の安全体制を構築し、従業員や顧客の命を守るための非常に重要な第一歩です。
講習の申し込み方と、選任後の注意点
あなたの事業所に必要な防火管理者の種類(甲種または乙種)が明確になったら、次は実際に資格を取得するための講習受講と、選任後の手続き・活動についてです。
ここでは、防火管理講習の具体的な申し込み方法と、資格を取得し防火管理者に選任された後の重要な注意点について解説します。
1. 防火管理講習の申し込み方 – 正確な情報を得るために
防火管理講習は、消防法令に基づき、特定の機関が実施しています。
「どこで、どうやって申し込むの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
最も確実な方法は、以下の機関が提供する情報を確認することです。
- 管轄の消防署の予防課
ご自身の事業所を管轄する消防署の予防課に直接問い合わせるのが一番確実です。
地域によって講習の実施主体や開催頻度が異なるため、最新の情報を得られます。 - 岡山県庁の消防防災担当部署
岡山県では、主に岡山県 防災消防部 消防保安課が消防防災に関する業務を所管しており、県内での講習開催情報や問い合わせ先について案内しています。
岡山県の公式ウェブサイトでも情報が掲載されている場合があります。 - 一般財団法人日本防火・防災協会のウェブサイト
総務大臣の登録を受けた法人として、全国各地で防火管理講習を実施しています。同協会のウェブサイトでは、全国の講習日程や会場、申し込み方法などが詳しく案内されています。
岡山県での講習情報もこちらで確認できます。- 参考URL: https://www.n-bouka.or.jp/ (一般財団法人日本防火・防災協会)
申し込みのポイント:
- 早めの申し込みを!
講習は定員制で、人気の会場や日程はすぐに埋まってしまうことがあります。
必要な講習の種類(甲種・乙種)と日程を確認したら、早めに申し込み手続きを行いましょう。 - オンライン講習の活用
最近では、一部の講習がオンラインで受講できる場合もあります。
遠方の方や、日程調整が難しい方は、オンラインでの受講も検討してみましょう。
2. 防火管理者として選任された後の手続き – 忘れずに消防署へ届け出を
防火管理講習を修了し、資格を取得した方を防火管理者として選任したら、それで全て完了ではありません。
消防法では、防火管理者を選任した際、その旨を速やかに管轄の消防署長に届け出ることが義務付けられています。
- 届出書類: 「防火管理者選任(解任)届出書」
- 提出先: 事業所を管轄する消防署



この届出を怠ると、法令違反となりますので、忘れずに提出しましょう。
この「防火管理者選任(解任)届出書」の作成や提出手続きについても、私たち行政書士が専門的な知識に基づいてサポートさせていただくことが可能です。
3. 選任後の重要な注意点 – 「資格を取れば終わり」ではない!
防火管理者の資格を取得し、消防署に届け出を済ませれば、法令上の義務は果たしたことになります。
しかし、「資格を取れば終わり」ではありません。
むしろ、そこからが、事業所の安全を守るための防火管理者の本当の仕事の始まりです。
防火管理者が継続的に行うべきこと
- 消防計画に基づいた業務の実施
- 火気管理、避難経路の確保、消防用設備の点検・整備状況の確認など、日々の火災予防活動を継続します。
- 定期的な訓練の実施
- 消防計画に定めた通り、消火訓練や避難訓練を定期的に実施し、従業員の防災意識と対応能力を高めます。
- 従業員への防火教育
- 新入社員への教育はもちろん、全ての従業員に対して、防火・防災に関する知識や意識を高めるための教育を継続します。
- 消防計画の見直しと更新
- 事業所のレイアウト変更、従業員の増減、法改正などがあった場合は、消防計画の内容を見直し、必要に応じて消防署に届け出ます。
再講習の受講義務も忘れずに!
前章でも触れましたが、甲種防火管理者で特定の条件に該当する事業所に選任されている場合、おおむね5年ごと(初回は選任から1年以内など条件あり)に再講習の受講が義務付けられています。
これは、消防法令の改正や新たな防災情報に対応するため、常に最新の防火管理ができるようにするための重要な義務です。



防火管理者は、一度資格を取って選任届けを出せば終わり、というものでは決してありません。
防火・防災に関する意識を高め、活動を継続していくことが何よりも重要です。
特に、日々の忙しさの中で『何から手をつければいいか分からない』『本当にこれで合っているか不安だ』と感じることもあるでしょう。そんな時こそ、私たちのような消防法令に詳しい専門家を頼っていただければと思います。貴社の防火管理者が、その役割を十分に果たせるよう、継続的なサポートを提供することも、私たちの重要な業務の一つです。
防火管理者は、事業所の安全を守るためのキーパーソンです。
資格取得はその第一歩。
その後の継続的な活動を通じて、真に実効性のある防火管理体制を築き、従業員や顧客の安全、そして大切な事業を守っていきましょう。
まとめ:適切な資格者を配置し、実効性のある防火管理体制を! – 甲種・乙種の違いを理解し、会社の安全を固めよう
この記事では、防火管理者の「甲種」と「乙種」という二つの資格の違いについて、その背景にある考え方から、選任できる事業所の規模や業務範囲、講習内容、資格の有効範囲まで、具体的なポイントを比較しながら詳しく解説してきました。
最後に、あなたの事業所の安全に関わる大切なポイントを再確認しましょう。
- 「甲種」と「乙種」は、対象とする事業所の火災リスクや規模に応じて、求められる知識・技能のレベルが異なる区分です。 優劣ではなく、役割の違いとして理解することが重要です。
- 甲種防火管理者は、原則として全ての防火対象物で選任可能であり、大規模・高リスクな施設では必須となります(特定防火対象物300㎡以上、非特定防火対象物500㎡以上など)。
- 乙種防火管理者は、甲種が必要とされる規模を下回る比較的小規模な事業所に限定されます。
- どちらの資格が必要になるかは、自社の建物の用途、規模(延べ面積、収容人員など)によって細かく決まっています。
安易な自己判断は避け、必ず正確な情報を基に判断しましょう。 - 資格を取得したら、消防署への届出を忘れずに。そして、何よりも「資格を取れば終わり」ではなく、継続的な防火管理業務の実施や再講習の受講を通じて、常に最新の知識と活動で事業所の安全を守り続けることが大切です。
防火管理者の適切な選任は、単に法令上の義務を果たすということだけではありません。
それは、火災から従業員の命と財産を守り、事業の継続性を確保するための、非常に重要かつ具体的な一歩です。
あなたの事業所に本当に必要な資格者を正しく配置し、その方が活動しやすい環境を整えることが、安全な職場環境づくりの「要」となります。
日々の業務に追われる中で、こうした専門的な判断や手続きは時に複雑に感じられるかもしれません。 しかし、その一つ一つの積み重ねが、あなたの会社の「守りの要」を強固なものにします。
甲種?乙種?防火管理者の資格選任、専門家が的確にアドバイスし、確実な手続きをサポートします!
「甲種と乙種、うちの会社にはどっちが必要なの?」「選任手続きがよく分からない…」
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単なる書類作成に留まらず、次のようなきめ細やかな現場サポートが可能です。
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