中小企業が見落としがちな火災リスクと、その具体的な予防策 – 元消防局長が現場で見た危険の芽

「うちの会社は、まあ大丈夫だろう」
「防火設備も一応あるし、これまで特に大きな問題もなかったから…」

岡山の企業の経営者の皆様、そして安全管理を担当されている皆様。
日々の忙しさの中で、自社の「火災リスク」について、じっくりと考える時間はなかなか取れないかもしれませんね。

しかし、その「うちは大丈夫」という“思い込み”こそが、実は最も注意すべき危険信号なのかもしれません。

元岡山市消防局長、現在は消防法令専門の行政書士をしております東山です。 42年間の消防士としてのキャリアを通じて、私は数えきれないほどの火災現場や、企業の予防査察に立ち会ってきました。
その中で痛感してきたのは、多くの中小企業様が、ご自身では気づかないうちに、様々な「火災の危険の芽」を抱えてしまっているという現実です。
それは、決して他人事ではありません。
最新の設備を導入している大企業とは異なる、中小企業特有の環境や事情の中にこそ、見落とされがちなリスクが潜んでいるのです。
そして、その小さな火種が、ある日突然、取り返しのつかない大きな火災へと繋がってしまう可能性を、私は決して否定できません。

この記事では、

  • なぜ中小企業が火災リスクを「見落としがち」になってしまうのか、その背景にある構造的な理由。
  • 私が実際に消防の現場で見てきた、中小企業に特有の「危険の芽」とは具体的にどのようなものか。
  • そして、それらの危険の芽を摘み取り、今すぐ実践できる具体的な予防策とは何か。

といった点について、私が現場で得た「生きた教訓」や、時には「ヒヤリとした事例」を交えながら、分かりやすく、そして具体的にお伝えしていきます。

この記事を最後までお読みいただければ、あなたの会社の「隠れた火災リスク」に気づき、それを未然に防ぐための具体的な第一歩を踏み出すきっかけが得られるはずです。

「まさか、うちの会社が…」という事態を招かないために、「うちの会社も、ここを気をつけよう!」という前向きな行動へと繋げるために、ぜひご一読ください。

目次

なぜ中小企業は火災リスクを見落としがちなのか?その背景にある「3つの油断」

「うちの会社に限って、まさか火事なんて…」

多くの中小企業の経営者や従業員の皆様は、心のどこかでそう思っているかもしれません。
しかし、その「まさか」が現実のものとなってしまう可能性は、残念ながらゼロではありません。

では、なぜ中小企業は、日々の業務の中で火災リスクを見落としてしまったり、対策が後手に回ってしまったりしがちなのでしょうか?

そこには、中小企業特有の事情や環境から生まれやすい、いくつかの「油断」の構造が潜んでいると、私は長年の経験から感じています。

油断1:「うちは小さい会社だから大丈夫」という規模感からくる誤解

まずよくあるのが、「事業規模が小さいから、火災リスクも小さいだろう」という誤解です。
確かに、大規模な工場や商業施設に比べれば、保有する設備や従業員数は少ないかもしれません。

しかし、

  • 限られたスペースに可燃物が密集しやすい:
    小規模な事業所ほど、事務所と作業場、倉庫などが近接し、可燃物が整理されずに置かれているケースが見られます。
  • 一人の担当者に業務が集中しがち:
    防火管理や安全衛生の担当者が他の業務と兼任し、専門的な知識や時間を十分に割けない。
  • 予算的な制約から設備投資が後回しに:
    最新の消防設備や、老朽化した電気設備の更新などが、経営判断の中で優先順位を下げられてしまう。

といった、むしろ小規模だからこそのリスクも存在します。
「うちは小さいから」という言葉が、必要な対策を見送る言い訳になってしまってはいないでしょうか。

小さくても、火種は同じです!

火災の原因となる電気のショートや、たばこの不始末、暖房器具の取り扱いミスなどは、企業の規模に関わらずどこでも起こりえます。
そして、一度火災が発生すれば、たとえ小さな事業所であっても、その被害は経営の根幹を揺るがすほど甚大なものになり得るのです。

油断2:「今まで火事なんて起きていないから、これからも大丈夫」という経験則への過信

「創業以来、一度も火事なんて起こしたことがない。だから、うちの会社は安全だ」

このように、過去の無事故経験を、未来の安全の保証のように捉えてしまうのも、非常に危険な「油断」の一つです。

確かに、これまでの取り組みや運が良かった結果かもしれません。 しかし、

  • 設備の老朽化は日々進行している:
    昨日まで問題なかった電気配線や機械設備が、今日突然不具合を起こす可能性は常にあります。
  • 従業員の入れ替わりや作業内容の変化:
    新しい従業員が火気取り扱いのルールを知らなかったり、作業手順の変更が新たなリスクを生んだりすることもあります。
  • 周辺環境の変化:
    近隣で工事が始まったり、空き家が増えたりすることで、自社を取り巻く火災リスクも変化します。

このように、企業を取り巻く状況は常に変化しています。

 「今まで大丈夫だった」という過去の経験則は、残念ながら、これからの安全を何ら保証するものではありません。

 むしろ、その過信が、必要な点検や見直しを怠らせ、静かにリスクを増大させている可能性があるのです。

油断3:「専門業者に委託しているから万全」という“過度な安心感”と関心の低下

「消防設備の点検は、ちゃんと専門の業者さんにお願いしているから、うちは万全だよ」

これもよく耳にするお言葉で、専門業者に委託すること自体は、法令遵守と専門性の確保の観点から非常に適切なご判断です。

しかし、ここに潜むのが、委託したことで「全てお任せ」となり、企業側の関心が低下してしまうという「油断」です。

消防用設備の定期点検や整備を専門業者に委託した後、企業として以下の点について、主体的に関与・確認されていますでしょうか?

  • 点検結果報告書の内容を、担当者の方がきちんと目を通し、理解していますか?
    「異常なし」という結果だけでなく、もし「要観察」や「軽微な不備」といった記載があった場合、その内容と対応の必要性について業者とコミュニケーションを取っていますか?
  • 指摘事項があった場合、その改修計画や進捗状況を把握し、適切に対応していますか?
    予算やタイミングの問題で対応が遅れる場合でも、そのリスクを認識し、業者と相談しながら計画的に進めていますか?
  • 日常的な管理(例えば、消火器の周囲に物を置かない、避難経路を清潔に保つなど)は、業者任せではなく、自社の従業員が責任を持って行うべきことだと周知徹底されていますか?

私が消防署で立ち入り検査に伺った際、経営者の方や担当者の方に『消防設備の点検結果はどうでしたか?』と尋ねると、『ああ、それは専門の業者さんにお願いしているので大丈夫です』というお返事はよくありました。専門家を信頼し、業務を委託されることは素晴らしいことです。
しかし、『具体的にどのような報告がありましたか?』『指摘事項への対応は進んでいますか?』とお聞きすると、残念ながら詳細を把握されていないケースがあったり、設備の使い方も知らないような場合も時折見受けられました。
専門業者への委託は、あくまで『専門的な技術や知識を補ってもらう』ための手段であり、防火管理に関する最終的な責任と、日常的な安全確保への関心は、常に事業主の皆様と従業員の方々が持ち続ける必要があるのです。
委託したからといって関心を失ってしまうと、いざという時に設備が期待通りに機能しなかったり、法令上の小さな不備が大きな問題に発展したりする危険性も否定できません。

次のセクションでは、私が実際に消防の現場で見てきた、これらのような油断が背景となって潜んでいた、中小企業特有の「危険の芽」について、より具体的に掘り下げていきます。

【現場からの警鐘】元消防局長が指摘!中小企業に潜む、見過ごされがちな「火災の危険箇所」

前章では、中小企業が火災リスクを見落としがちな背景にある「3つの油断」についてお話ししました。

これらの油断は、気づかぬうちに私たちの職場に様々な「危険の芽」を育ててしまいます。

ここでは、私が元岡山市消防局長として、また42年間の消防士として、数多くの事業所の査察や火災現場で実際に目の当たりにしてきた、重大な火災に繋がりかねない「火災の危険箇所」とその具体的な状況について、お伝えしていきます。

これらは決して他人事ではありません。あなたの会社の日常にも、これらの危険が潜んでいないか、ぜひチェックしてみてください。

危険箇所①:電気設備・配線 – 「見えない場所」の老朽化と「日常的な無理」が招く火種

消防の現場で最も多く遭遇する火災原因の一つが、電気設備や配線に関するトラブルです。

特に中小企業では、建物の築年数が経過していたり、電気設備の管理が専門業者任せになりがちだったりすることから、見過ごされているケースが少なくありません。

特に注意!電気火災を引き起こす主な要因:

  • 古い建物の配線放置:
    壁内や天井裏の配線が長年更新されず、被覆の劣化や接続部の緩みが生じている。
  • タコ足配線の常態化と定格容量オーバー:
    一つのコンセントから多くの電気製品を使用し、許容量を超えた電流が流れている。延長コードが異常に熱を持っていることも。
  • コンセント周りのホコリとトラッキング現象:
    コンセントとプラグの間に溜まったホコリが湿気を吸収し、微弱な電流が流れて発火する。
  • 大型電気機器の不適切な接続:
    エアコンや業務用冷蔵庫など、消費電力の大きな機器を、容量の小さいコンセントや細い延長コードで使用している。
  • 従業員による無許可の電気ヒーター等の持ち込みと不安全な使用。

電気火災は、いつ起こるか分からないため、人のいない夜間や休日に発生すると、発見が遅れ、被害が甚大化してしまう傾向があります。見た目では分かりにくい部分だからこそ、定期的な点検と、日常的な従業員の注意が不可欠です。

危険箇所②:厨房・給湯室など「火気使用場所」 – 清掃の不備と慣れによる油断

飲食店に限らず、従業員のための給湯室や休憩室など、日常的に火気を使用する場所は、常に火災のリスクと隣り合わせです。

特に、清掃の不備や、日々の作業の「慣れ」からくる気の緩みが、大きな事故を引き起こすことがあります。

  • レンジフード・排気ダクトの油汚れの蓄積:
    長期間清掃されていないフードやダクト内部に溜まった油汚れは、調理中の炎が引火しやすく、一度燃え広がると消火が非常に困難です。これは、私が最も多く火災原因として見てきたものの一つです。
  • コンロ周りの可燃物の近接放置:
    布巾、ペーパータオル、食用油の容器、調味料の袋などが、コンセントのすぐそばに無造作に置かれている。
  • ガス機器の接続部の劣化やホースの損傷:
    ガス漏れは引火・爆発の危険性が高く、定期的な点検と適切な交換が必須です。
  • 使用後の火元確認の不徹底:
    「少しの時間だから大丈夫」「他の誰かが消してくれるだろう」といった安易な考えが、消し忘れによる火災を招きます。

危険箇所③:職場全体の「整理整頓の不備」 – 燃え広がりやすく、逃げにくい環境

「職場の整理整頓は、火災予防の基本中の基本」と、私は口を酸っぱくして申し上げてきました。

乱雑な職場環境は、火災の発生リスクを高めるだけでなく、万が一の際の避難を著しく妨げ、被害を無用に拡大させる最大の要因の一つです。

あなたの職場、こんな「燃えやすく、逃げにくい」状態になっていませんか?

  • 通路、階段、非常口の前や周辺に、段ボール箱、商品、資材、ゴミなどが日常的に置かれ、避難の障害となっている。
  • 書類や資料、古いカタログなどが机の上や棚、床に山積みになり、地震などで崩れたり、火災時に格好の燃料となったりする。
  • 倉庫やバックヤード、機械室などが物で溢れかえり、奥の物が取り出せない、あるいは何が保管されているか不明な状態。
  • 使われなくなった古い機械や什器、可燃性の廃材などが、ホコリをかぶったまま事業所内に長期間放置されている。

火災現場で最も悲しく、そして悔やまれるのは、もし避難経路がきちんと確保されていれば助かったかもしれない命が失われてしまうことです。整理整頓は、単なる美観の問題ではなく、命を守るための最優先課題と認識してください。

危険箇所④:喫煙に関する「ルールの形骸化」と「不始末の常習化」

喫煙に関する規制が厳しくなる中でも、たばこの不始末は依然として火災原因の上位を占めており、喫煙ルールの徹底や管理が行き届いていないケースは危険です。

  • 指定場所以外での「隠れ喫煙」の黙認:
    従業員が人目を避けて、倉庫の片隅、トイレ、屋外の可燃物の近くなどで喫煙しているのを、見て見ぬふりをしている。
  • 吸い殻入れの不適切な管理と清掃不足:
    燃えやすい素材の容器を吸い殻入れとして使用している、水が入っていない、吸い殻が山盛りになっている、定期的な清掃が行われていない。
  • 消火確認の甘さと「ポイ捨て」に近い行為:
    吸い殻の火を完全に消したかどうかの確認が曖昧なままゴミ箱に捨てたり、屋外で安易に処理したりする。
  • 喫煙場所周辺の環境管理の不備:
    喫煙場所のすぐそばに、段ボールや紙類、乾燥した落ち葉などの可燃物が放置されている。

危険箇所⑤:従業員の「防災知識の欠如」と「他人任せの意識」 – いざという時の対応力ゼロ

どんなに優れた消防設備が備わっていても、それらを操作し、適切に行動する「人」がいなければ、宝の持ち腐れです。

そして、その「人」が、火災発生時に何をすべきかを知らなければ、初期の小さな火種があっという間に大きな火災へと拡大してしまいます。

  • 消火器の設置場所すら知らない、触ったこともない従業員が意外と多い。
  • 自社の避難経路や避難場所を正確に把握していない。
  • 火災報知器が作動しても、「また誤報だろう」「誰かが対応するだろう」と、誰も確認や初期行動を起こそうとしない。
  • 119番通報の際に、慌ててしまい、正確な住所や建物の状況、火災の様子などを的確に伝えられない。
  • 「防火管理は担当者の仕事」「自分には関係ない」という他人任せの意識が、組織全体に蔓延している。

ここで挙げた『危険箇所』は、私が実際に多くの事業所で見てきた、決して稀ではない光景です。
そして、これらの多くは、経営者の方や従業員の皆様が『これは危ないかもしれない』と少し意識を変え、日々の業務の中でほんの少し注意を払うだけで、十分に防げるものばかりなのです。
最新の設備を導入することも時には必要ですが、それ以上に、そこで働く『人』への教育と、安全への意識付けこそが、火災から会社を守る最も基本的で、かつ強力な力となるのです。

これらの「危険箇所」に潜む「危険の芽」は、一つ一つは小さなものに見えるかもしれません。

しかし、それらが放置され、複合的に絡み合うことで、いつかあなたの会社を脅かす大きな火災へと発展する可能性があることを、どうか忘れないでください。

次のセクションでは、これらの芽を効果的に摘み取り、安全な職場環境を築くための具体的な予防策について、今日からでも始められる実践のコツをお伝えします。

本編3:【今日からできる!】「危険の芽」を摘み取る具体的な予防策と実践のコツ

前章では、元消防局長である私の視点から、見過ごされがちな「火災の危険箇所」について具体的に解説しました。
「うちの会社にも、当てはまる点があったかもしれない…」と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、危険箇所に気づいただけでは、リスクはなくなりません。

大切なのは、その「危険の芽」を一つひとつ丁寧に摘み取り、安全な職場環境を築いていくための具体的な行動を起こすことです。

幸いなことに、これらの多くは、日々の少しの心がけと、継続的な取り組みによって十分に予防できるものです。

ここでは、前章で挙げた危険箇所に対応する形で、皆様が今日からでも実践できる、具体的な予防策と、その取り組みを長続きさせるためのコツをご紹介します。

予防策1:電気設備・配線の安全総点検と、日常管理ルールの徹底

電気火災は、見えないところで進行することが多く、非常に厄介です。
しかし、定期的な点検と、従業員による日常的な注意で、そのリスクは大幅に減らせます。

電気設備の安全を守るために:

  • 専門家による定期点検の実施を検討する:
    特に古い建物や、電気設備を長年更新していない場合は、一度、資格を持つ電気工事士などに依頼し、配線や分電盤の安全点検をしてもらうことを強くお勧めします。
  • 従業員ができる日常チェックリストを作成・活用する:
    • タコ足配線になっていないか?延長コードは熱を持っていないか?
    • コンセント周りにホコリは溜まっていないか?(定期的な清掃)
    • 使用していない電気機器のプラグは抜かれているか?
    • 異臭や異音、変色など、電気設備の異常のサインを見逃さない。
  • 電気機器の安全な使用ルールを定め、周知徹底する:
    容量を守る、濡れた手で触らない、無許可の機器を持ち込まないなど。

予防策2:火気使用場所の「見える化」と、清掃・点検の習慣化

厨房や給湯室など、火を使う場所は、常に危険と隣り合わせであることを再認識し、管理体制を強化しましょう。

  • 火元責任者の明確化と「見える化」:
    各火気使用場所に責任者を定め、氏名を掲示するだけでも意識が変わります。
  • 清掃・点検チェックシートの導入と定期的な実施:
    レンジフードやダクトの清掃、ガス機器の接続部点検などを、いつ誰が行ったか記録に残し、習慣化します。
  • 従業員への注意喚起の工夫:
    「火の用心」のポスター掲示だけでなく、朝礼での一言注意や、危険箇所を写真で共有するなど、マンネリ化しない工夫を。
  • 消火器の適切な配置と使用方法の再確認:
    火気使用場所の近くには必ず消火器を設置し、全従業員がその場所と使い方を理解している状態を目指しましょう。

予防策3:「5S+安全」を意識した、火災に強い職場環境づくり

整理整頓は、単に職場をきれいにするだけでなく、火災予防と安全な避難に直結する重要な活動です。
5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に、さらに安全(Safety)の視点を加える」ことを意識しましょう。

5S+安全で、火災リスクを減らす!

  • 定期的な「整理整頓デー」の実施:
    全従業員で不要なものを処分し、必要なものを使いやすく配置する日を設ける。
  • 避難経路と消火設備の表示の明確化と障害物排除の徹底:
    避難経路図を見やすい場所に掲示し、通路や非常口、消火器の周りには絶対に物を置かないルールを徹底する。
  • 可燃物の保管ルールの設定と遵守:
    紙類、布類、廃材、危険物などは、指定された安全な場所に、燃え広がりを防ぐ方法で保管する。
  • 「危険箇所マップ」の作成と共有:
    従業員みんなで職場の危険箇所を洗い出し、マップ化して共有することで、安全意識を高める。

予防策4:喫煙ルールの再徹底と、従業員の自覚を促す環境づくり

たばこ火災を防ぐには、厳格なルール設定と、喫煙者自身の自覚を促す環境づくりが不可欠です。

  • 喫煙場所の明確な指定と安全対策の徹底:
    指定場所以外での喫煙は厳禁とし、喫煙場所には必ず不燃性の吸い殻入れを設置し、水を入れるなどの対策を講じます。
  • 定期的な吸い殻入れの清掃と、消火確認の習慣化:
    吸い殻が溜まりすぎないように定期的に清掃し、捨てる際には必ず消火を確認するよう指導します。
  • ポスター掲示や個別指導による注意喚起:
    喫煙マナーや火災の危険性について、繰り返し注意喚起を行います。
  • 禁煙サポートの検討(福利厚生の一環として):
    企業として禁煙を奨励し、サポートプログラムなどを導入することも、長期的な火災リスク低減に繋がる可能性があります。

予防策5:従業員の防災意識とスキルを高める、実践的で「身近な」教育・訓練

「いざという時」に本当に役立つのは、日頃からの地道な教育と訓練によって培われた、従業員一人ひとりの防災意識と対応スキルです。

  • 短時間でできるKYT(危険予知訓練)の日常的な実施:
    職場の写真やイラストを使い、「どこに危険が潜んでいるか」「どうすれば防げるか」を数人のグループで話し合う。ゲーム感覚で安全意識を高められます。
  • 消火器の取り扱い体験:
    実際に消火器(訓練用でも可)に触れ、構え方や操作方法を体験する機会を設ける。(※訓練用の水消火器などを使用)
  • 避難経路のウォークスルー(実際に歩いてみる):
    定期的に、従業員みんなで自社の避難経路を実際に歩いて確認し、障害物がないか、表示は分かりやすいかなどをチェックする。
  • 「もしも」を想定した図上訓練(シミュレーション):
    「もしここで火災が起きたら、誰が何をするか?」を、地図や間取り図を使ってシミュレーションする。

こうした実践的な教育・訓練の企画や、より効果的な進め方について、専門的なアドバイスや実施サポートが必要な場合は、ぜひ東山行政書士事務所にご相談ください。
元消防局長としての豊富な経験を活かし、貴社の実情に合わせた「生きた訓練」の実現をお手伝いします。

これらの予防策は、どれも決して難しいことではありません。大切なのは、経営者の方がまず『本気で取り組む』という姿勢を示し、それを従業員の皆さんに伝え、そして日々の業務の中で『当たり前のこと』として定着させていくことです。
最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、これらの小さな積み重ねが、確実にあなたの会社を火災のリスクから遠ざけます。そして、安全な職場環境は、従業員の安心感にも繋がり、結果としてより良い会社づくりに貢献するはずです。
当事務所は経営者様の思いを現実に変えて一緒に伴走します。
『予防に勝る防火なし』。この言葉を、ぜひ心に留めていただければと思います。

まとめ:「危険の芽」はあなたのすぐそばに。気づきと日々の行動で、会社と未来を守る

この記事では、元岡山市消防局長としての私の経験から、見落としがちな火災リスクの具体的な「危険箇所」と、それらを未然に防ぐための実践的な予防策について詳しく解説してきました。

改めて、心に留めていただきたい大切なポイントは以下の通りです。

  • 中小企業が火災リスクを見落としがちな背景には、「規模感の誤解」「経験則への過信」、そして「専門業者への委託後の関心の低下」といった「油断」が潜んでいます。
  • 電気設備・配線の老朽化や不適切な使用、火気使用場所の清掃不良、整理整頓の不備、喫煙管理の甘さ、そして何よりも従業員の防災知識・意識の欠如は、気づかぬうちにあなたの会社に忍び寄る「危険の芽」です。
  • しかし、これらの多くは、日々の業務における少しの注意と、全従業員で取り組む地道な予防策(電気設備の点検、火気管理の徹底、5S活動、喫煙ルールの遵守、実践的な教育・訓練など)によって、確実に摘み取ることができます。
  • 火災予防は、決して他人事や担当者任せにするのではなく、経営トップが強いリーダーシップを発揮し、従業員一人ひとりが「自分ごと」として捉え、継続的に取り組んでいくべき重要な経営課題です。

「うちの会社は大丈夫」という根拠のない自信ほど、危険なものはありません。

この記事でご紹介した「危険の芽」が、あなたの職場にも潜んでいないか、ぜひこの機会に見つめ直してみてください。

そして、もし一つでも思い当たる節があれば、小さなことでも構いませんので、今日から改善の一歩を踏み出していただきたいのです。

その小さな気づきと、日々の地道な行動の積み重ねこそが、あなたの会社と、そこで働く大切な従業員の生命と財産、そしてかけがえのない未来を、火災という悲劇から守る最も確実な力となるのです。

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